③内装工事
昔の木造住宅のリフォームにおいて、単に設備品の取替工事だけでは、生活する上での快適性はそこまで向上できないと考えております。室内に置いて温熱環境というのはとても重要なもので、結露や隙間風などによって室内の温度変化が著しいと、思わぬ部分から気流が発生し、快適な室内空間とは程遠い環境となります。本工事では、室内環境をケアした工事を施しています。
工事中
床パネルを受けるための下地を入れる
床パネル(構造用合板28mm)を受けるために大引をやり替えします、既存の床面をそのまま利用することも予算などによっては行いますが、床レベルが著しく違っていたり、リフォームによってバリアフリー性を高める場合においては、やり替えることもあります。本工事では壁補強の先行工事が必要なこともあり、やり替えています。
断熱補強、足冷え防止に有効な床下断熱
冬場は暖気が上部に上りやすく、冷えた空気が下部に集まりやすいので、暖気を逃がさないように天井の断熱性能をを上げるとともに、床下の冷気が入りにくくするためにも床下の断熱は重要です。足冷えが酷い方だと設備的解消法として床暖房という手段はありますが、設備コストが大幅に増加するので、まずは基本的な断熱性能を上げることから入ります。
断熱材敷設後は床パネルを張り、床から壁への気流を防止
住環境において「断熱」は熱を完全にシャットダウンするということでなく、魔法瓶の水筒に温水や冷水を入れ、時間の経過と共に常温に戻るのと同様で、室内外の気温差の変化を緩やかにすることなので、空調をせずに部屋が快適になるわけではありません。「室内の温熱環境が外部の影響を受けにくくなる」ことにより、エアコンなどの負荷も減り、電気代の節約効果も期待できます。
天井下地を組む
断熱補強を施すうえで、天井面で下屋部分にあたる部分の断熱は注意点が多々存在します。夏場は屋根面に受けた日射を屋根材が輻射熱として屋内側に熱を放射することによって天井裏面はとても高温空間になります。また、冬場は暖房機器で温めた空気が上部に上昇するために天井面の断熱性能が低いとそこから熱が逃げてしまいます。
天井下地に断熱材を敷き詰める
断熱材は天井下地のピッチに嵌るようにできているので、比較的工事内容としては難易度は高くなく、また工事しない部屋においても、天井裏に潜れる状況であれば後施工や増設も可能であることからコスパは良い工事です。断熱材の種類もマットタイプや現場吹付型など、多岐にわたり、性能によって単価が上がるようなものになります。一般的には繊維系のグラスウールやロックウールがホームセンターなどでも手に入ります。弊社では予算や、使用箇所の用途などに合わせて選択しますが、木造住宅には不燃性能が高いロックウールを採用する機会が多いです。
窓からの熱
外部からの熱の影響を1番受けやすい部位は窓です。昔の単板ガラスなら結露で窓枠がベタベタな状態は当たり前でしたが、現在の主要メーカーのサッシなどにおいては、樹脂とアルミの混合構造であったり、複層ガラスの性能の向上もあり、熱の流入量が少なくなるよう工夫されています。低炭素住宅や長期優良リフォームなどの建物の熱負荷の計算をする際に一番大きい負荷部分は窓になりますので、日照のあたる大きな開口窓はそれだけ熱移動が盛んにおこなわれており、室内温熱環境に大きな影響を与えます。
本工事ではLOW-E複層ガラスとしています。LOW-Eガラスとはガラス面に金属膜をコーティングしたもので、遠赤外線の反射率を高めたガラスを中空層を挟み室内側もしくは室外側のガラスに用いて断熱性能を高めたものです。
他にも窓部分の断熱性能を高めるリフォームとして内窓を取り付けるという方法もあります。内窓に関してはリフォーム実例#1 にて紹介しています。
ユニットバスも現在では、浴槽部分に断熱材がついているので、お湯自体も冷めにくくなっています。将来的にヒートショック予防として浴室又は洗面室に取り付ける暖房機の増設も踏まえ分電盤も新たに組み替えし、感震ブレーカーも増設しました。
リフォームはメンテナンス性重視
住宅設備の集中するトイレ、洗面脱衣室、浴室も他室同様に床面をやり替えに伴い配管類もすべて交換、また、電気配線もリフォームした部分に関してはすべてやり替えています。
弊社新築時の仕様として、配管メンテナンスや点検ができる状況には特に重点を置いています。水道配管などは永久に使えるわけではないので、リフォームにおいても、点検などができるよう床下や天井に点検口を設けるようにしています。完成した後に点検口を設けるには家具の移動などお施主様にも負担が生じます、最初から点検や更新などが考慮された配管計画になっていれば、将来的な配管トラブルが発生しても素早い特定が可能なので、発見が遅れて家に多大なダメージを受けて手遅れな状態になる心配もなくなります。