①外構工事 ~駐車スペースの拡張~ 工事においてまず取り掛かったのが外構工事。駐車スペースは1台分しかなかったこともあり、先行して広げることで敷地内に停められる工事車両が増え、路上駐車することが減り近隣住民の方への負担が減ると考えたからです。ブロックで土留めをしてありましたが、土圧や強度を考えると新しく土留めする部分は鉄筋コンクリート造としました。 工事前 車1台分拡張するには、既存のコンクリートブロックの擁壁を壊し、一部庭石の配置換えが必要になりますので、まずは不要となる樹木を切り、ブロックを壊すことから始めます。 大きな庭石を移動させるのにも大きな重機が必要になるので、移動先の向きなどを考え掘削しなければなりません。 掘削前に庭に撒いてある細かい砂利については、集めて袋に詰めて工事終了時まで保管しておくことにしました。小さなことですが、残せるものは残しコスト減を図ることも必要になります。 工事中 擁壁の構造 隣地との地境で高低差のない場合はブロック1~3段で+フェンスなどで区切ることはありますが、敷地内における地盤の高低差が大きい場合や地震の際に大きな土圧がかかることが予見できる場所における擁壁の構造は鉄筋コンクリート造で造ることが望ましいと考えております。ブロック造で土圧を受けられるように作られているのは「型枠ブロック」と呼ばれるもので、一般的なブロック造はそのように作られていません。隣地との地境で1mくらいの高低差を普通のブロックで造ってあるのを見かけますが、家がその近くに建ってしまうとあとから新たにすることが難しくなってしまうため、高低差ができてしまう場合は家の寿命に見合った工法を選ぶ必要があります。 道路境界際に残る高ブロック塀の危険性 2018年に発生した大阪府北部地震では小学校のブロック塀が倒壊し登校中の小学生が下敷きになり死亡するという悲しい事故が発生してしまいました。ブロック塀と鉄筋コンクリート造では、同じ鉄筋を使用し、同じようにコンクリートで造られていますが、その構造の特徴は大きく異なり、強度、耐久性ともにブロック塀は鉄筋コンクリート造に劣ります。ブロック造は透水性が高く中の鉄筋が錆びやすく大きな力の加わる部分では不向きといえます。名古屋市の木造密集地では未だに2m近くもあるブロック塀が残っていたり、控壁とよばれる壁面を支える部分がなかったりと、倒壊の危険性があるブロック塀が多く残されています。 型枠・打設 鉄筋→ベース生コン打設の次は型枠、立ち上がり部分のコンクリート打設となります。打設後は養生期間を経て離型となります。 離型後は最終工程で駐車スペースの土間コンクリート工事 土間コンクリートは工事期間中の最後に打設します。これは先に打設してしまうと工事車両のタイヤの跡がついてしまう可能性があるからで、工事期間中は砕石の状態で駐車します。写真は打設寸前の状態です。型抜き部分の下部には水道配管が埋設してあります、将来的な配管のトラブルや更新が発生した時にはコンクリート土間を割り取ることなく掘ることができれば、補修も不要となるので余計な費用負担が減ることになります。 工事完成後 工事を終えて 一人につき1台の車を持つ時代において、一家に一台の駐車スペースでは他に駐車場を借りなければならず、ランニングコストも利便性も悪い。 本工事における駐車スペースの拡張によって、単に駐車台数が増えただけでなく、家全体の水道配管のやり替えも同時にできたため、配管の寿命から水漏れの可能性が高かったのですが、解消することができました。 古い家では地中埋設されている水道管はVP管が多く、経年劣化によってVP管の曲がり役物のところでよくピンホール穴があき、水道検針時に漏水が指摘されるケースが稀にあります。水廻りのリフォームをする場合は、現況の配管が信用できるものかどうかを見極めることも重要です。 外構のリフォームによって庭石の位置が変わったため飛び石も少し配置換えを行いました。LDKからそのまま庭て庭木を手入れできるような使い勝手をイメージしています。 庭石も擁壁の新設に伴って、置き換えました。擁壁との間は真砂土を入れお施主様が新たに樹木が植えられるようにしています。 最後に着手前に集めてあった細かい砂利を元に戻して、庭は完成となります。 ②耐震補強工事へ