ハウスドクター
こんにちは。
毎日ブログを書くということはなかなかできないものです。
コロナ禍により、他人を自宅に入れることが多い建築リフォーム業界は緊急性を伴う工事以外はあまり活発ではないようですね。
もうすいぶんと前に絶滅したと思っていたのですが、悪徳リフォーム業者による「点検商法」「指摘商法」なるものが確認されたので、そのお話をします。
先日、顧客様の家より「屋根の樋にゴミが入って詰まっているのと瓦がズレてるみたいだから直してくれますか」との依頼があり、
自分と、職人さん1人連れて屋根に上ったのですが、12月のことでしたので大雨の降る時期でもないし
ずっと前から集水器(軒先で流れてきた雨水を集める箱のような部材)の中にゴミが詰まり溢れてたのかなぁと考えていました。
顧客様に「いつぐらいからですか?」と尋ねると、
「先日、隣の家が屋根のズレ止めをするから、足場を入れさせてほしいと頼みに来た。隣の工事終了後にその工事をした業者が、屋根の瓦がずれているし、樋が詰まっていますよと教えてくれたから発覚した」とのこと。
隣とは樋先同士で20センチも離れていないような状況でしたが、足場からは少し離れた集水器の中の様子がなぜわかったんだろうなーと少し不思議に思いました。
聞くと、隣の瓦のずれ止めは、自分が思った金額(これくらいならできそうかなぁと思う金額)よりまぁまぁお高めな工事金額でした。
と同時に、指摘商法のようなやり口と思ったので、顧客様には、「隣の工事のついでに見てあげるわ」、とか「瓦がずれてるから落ちたらアブナイよ」とか危険を煽るようなことを言って不安にさせてから、自分が手を加えて高額な工事金額を請求しようとする詐欺みたいな話があるんだよと、伝えました。
実際のところ、隣地と軒先同士は下屋部分で近い位置なので見てない隙に勝手に屋根に上って瓦をずらすことなんて出来なくもないでしょうしね。
ただ証拠もありませんので、本当に悪質な業者なのかは不明ではありますが、そういうことをする業者もいるようなので注意は必要だと思います。
自分が知る中の建築業における点検商法なるものは、いきなり訪問タイプで「お宅の家は古くて地震が来たとき倒れるかもしれないから、床下や天井裏に潜って点検しませんか?」的な入りから、対して意味のない金具を床下の大引きなんかに片っ端から取り付けて高額な金具取付工事費を請求する『地震煽りタイプ』の点検詐欺が、瑕疵担保履行法が制定される前くらいに12、13年位前に話題になってたような覚えがあります。
悪徳な業者は恐怖心を煽ってくる
屋根にしても地震にしても、どちらにも共通しているのは、緊急性を訴え、住む人の恐怖心を煽ることで、とにかく早く契約・工事着手に掛かろうとすることです。
手を加えてしまえば一応工事金額を請求することに正当性が出てきますし、緊急性があると思い込んでしまうとそれが本当に必要な工事なのかの判断力が鈍りますからそこに付け込まれてしまいます。
また、火災保険などの適用で工事が無料でできると謳う業者もいるようですね、風災以外の自然劣化による損傷は火災保険の適用はではないのが普通ですので、話の取っ掛かりに火災保険を持ち出す業者には注意がいるかもしれませんね。
現代では、インターネットである程度の情報は探し出せるので、判断の材料にすることでそういった被害から回避することも可能かもしれません。
たとえ知っていたとしても、振り込め詐欺が無くならないと同じように、巧妙な話術によりこういったリフォームの被害もなくならないのかもしれません。
もしそういった訪問販売によるリフォーム被害に遭ってしまったら
訪問販売による場合は、クーリング・オフ制度により契約を解除することができます。たとえ工事が着手しており、工事金額が請求されたとしてもその期間にかかった費用は返金されるうえ、頭金を支払っていた場合は無利息で全額返金されます。
ただし、クーリング・オフ制度は契約日を1日とし8日間の間に通知しなければなりませんので注意が必要です。
被害に遭わないようにするためにも
①関わらない、②点検させない、③信頼できる業者を見つけておく
全ての訪問販売が悪徳というわけではありませんが、訪問を主体で回っているのは怪しいと考えても良いと思います。被害に遭わないようにするにはまずは「関わるな」が一番です。無料点検など消費者側にメリットのあることを謳い家に入ろうとするのがやり口です。もし話を聞いてしまったとしても、その場で屋根に上らせたり、床下を見させたりするのはNGです。点検内容から不安を煽りますので、相手のペースに持ち込まれてしまうと初期段階よりも断りにくくなります。
自分のところが建築業者だからということでないのですが、③の信頼できる建築業者と付き合っておくというのは一番効果的なものではないのかなと思うのです、人の体で言えば「かかりつけ医」のような存在を持つということですから。住宅自体は必ず老朽化しますし、必ずメンテナンスする時期が来ます。
業者を選ぶ基準は工事金額や規模とかサービスとか選ぶ人それぞれの基準でも良いとは思います。何を基準に「信頼できる業者」とするかは本当に人それぞれの価値観もあって難しいことだと思います、当然業者との相性もあることですし。ですが、住宅全般のことに対応できる(←知識がある)のが理想ではないでしょうか。今回自分が直しに行った顧客様のように、相手が言っていることが本当なのか確かめることができるということになりますし。
住宅全般に精通していれば、将来的に外部の塗装や屋根の葺き替えの際にも、室内のリフォームにおいてもマルチに対応ができますよね。困ったときに自分の家を診てくれて、直してくれるハウスドクターとしての付き合い方ができる業者を探されてはいかがでしょうか。